SYMBOL

Shinya SAKURAI Solo Exhibition

MAEDA HIROMI ART GALLERY 10th Anniversary Special

櫻井 伸也

03,sep.2021 fri. → 19,sep.2021 sun.

この度、MAEDA HIROMI ART GALLERY 10周年記念のVolume2として櫻井伸也氏の新シリーズ”SYMBOL"を全て新作にて展観する。
櫻井氏と私の出会いは、開廊の2,3年前と記憶する。ポートフォリオを見せて頂いたときに、大概の場合は満足のいくような出来の作品ではなく、どこか学生時代に拵えた幼稚な作品の画像が多いが、櫻井氏の場合は違った。初見で「ああ!もうこの人、もう売れたはる人やん?」と。聞けばイタリアはトリノ在住で、厳しいヨーロッパの市場にて活躍するアーティストの一人であった。当時、私はまだ実家の日本画商に籍をおいていたが、櫻井氏は私の何を気に入ってくれたのか、京都に来るたびに会いに来てくれた。
開廊時に私は実家の日本画商とは違った作品を取扱いたかった為、オープニング展に櫻井氏に作品の提供を依頼したところ、快諾してくれた。オープニングパーティーの日には、イタリアからそれだけの為に飛んで来てくれたことを今でも憶えている。
私と櫻井氏にとって、当廊で開催する個展は2012年のART KYOTOであった。当時の新シリーズ”LOVE POOL"を交えた作品を小品から1m×1mの大きな作品まで、キレイに整列させて展観した。日本画商だった私は、初めてやってみたかった展覧会を開催できたような気分で、あまりブースから離れなかったような気がする。それから、"REAL POP ICON"、"UNITED COLORS"、"Delicious Colors"と2年ごとに新シリーズを展観し、百貨店や公共の施設での展覧会など、櫻井氏とはこの10年間で1番仕事をしたのではないかと思う。
この度の櫻井氏の個展"SYMBOL"は櫻井氏が活動の拠点であるイタリア・トリノが新型コロナウィルスの影響で街がロックダウンにあったことから、このシリーズの作品の制作に至ったらしく、この過酷な状況を乗り越えた後の希望や祈りを表現していると聴いている。事前に"SYMBOL"の作品は画像で拝見していたが、現物を見ると櫻井氏のいつもの軽快でカラフルな感じではなく、深い青や深い黒などに白い星や白い十字架とほぼ2色で表現する。一言で「深い青や黒」なんて書いているが、それは現在の得体の知れないウイルスや、それに伴う世間のゆがみ、人のストレス、怒りや喪失感など、深く深くキャンバスに塗り重なってるような印象を受ける。中でも黒の作品は圧巻である。希望や祈りを表現する星や十字架は白で描くが、バックのドロドロした感じとは逆に透明感や清潔感があり、エッジがはっきりとしていて、まさにコロナ禍が治まり、世間が再整列され、人それぞれが輝くようなこの世を櫻井氏は表現しているような気がする。この"SYMBOL"のシリーズは、私と出会う前に発表してらした"LOVE from HIROSHIMA"のシリーズを彷彿させるような、アプローチは違えど共通点があるような印象がある。と、思えばどことなく"LOVE SONG"や"LOVE POOL"のシリーズが顔を覗かせたりと、見れば見るほど櫻井伸也氏の正常進化なんだなと、納得させられる作品群である。あくまで私の主観ではあるが…。是非、御高覧頂きたい。

株式会社 マエダ・ヒロミ アートギャラリー 代表取締役 前田 博巳